初山形
先日、朝一番の新幹線で山形県米沢へ行きました。解体予定の木造住宅劣化調査のための日帰り出張でした。とある研究をまとめるためのサンプル調査なのですが、住宅医協会へ調査協力の依頼があり調査員として参加してきました。この研究成果が発表された時にはまた詳しく紹介できればと思います。

写真は車窓からの景色です。窓の汚れまで写ってしまっていますが、木々の紅葉がパッチワークのようでとてもキレイでした。
今回調査したお宅は戦前築?の母屋に築20~30年位の増築部分があるかなり大きめのお宅でした。冬には1m程度の積雪がある地域とのことだったので、寒冷地の木造住宅の造りはどのぐらい東京と違うのか知る良い機会になればと思っていました。ですが、増築部分は基礎は高めでしたが、造りは東京と違いはなく、断熱材も床下はウレタンフォーム25mm、壁はグラスウール100mmはない感じ、天井裏はグラスウール100mm、サイディング張りの外壁下地には通気胴縁もありませんでした。東京の同時代築のものと違いはほとんどありませんでした。そして、構造部分は健全で目立つような劣化箇所はありませんでした。古い方の部分は断熱材はなく、床も低く、土台が地盤面に近いために蟻害が多く見つかりました。
省エネ基準では山形と東京では必要とされる断熱基準は違うのですが、この基準は当時としては義務ではないので、個々のお宅で実際の断熱材の程度は違っているものと思われます。住んでいた方に寒さはどうだったか聞いてみたかったです。
今年の1月~3月と9月~12月で調査を行っていて、今まで8軒ほど調査させて頂いたのですが、同年代でもきちんと施工されているものは劣化は少ないです。同じ仕様でも正しく施工していなければ水が浸入し、結露が発生し、シロアリが侵入し、建物を劣化させていきます。正しく対策を検討して設計をし、正しく施工する。これが何よりも大事なのですが、これができていないお宅も少なくないようです。
劣化箇所を実際に見ることで気を付けるべき箇所も分かってきたので、これからの設計にも大いに活かしていきたいと思っています。
初めての山形だったのに、駅と現場の往復だけで帰る頃には外は真っ暗。帰りの新幹線で米沢牛弁当を頂くことができたことがせめてもの救いかもしれません。
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